目次
永住で見られる「お金」まわりの3本柱
- 公的義務の履行:住民税・所得税、健康保険料、年金保険料の納付状況
- 生活の安定性:継続的な収入、貯蓄、住居の実態(賃貸/持家・家賃/返済の負担)
- 素行・信用の総合:度重なる延滞・督促・差押え等の有無(=生活設計の健全性)
※ 入管が信用情報機関のスコアを直接照会する運用ではありません。ただし、公的未納や差押え等は資料で明らかになります。
影響の見え方|赤・黄・緑のシグナル
🔴 赤信号(出す前に解消必須)
- 住民税・所得税・健康保険・年金の未納/分納約定中
- 滞納による督促・差押え通知が最近ある
- 会社負担分の社保未加入(本来加入要件を満たすのに未加入)
対処:全額納付(分納中なら完了後に)、納付証明を添付。社保は遡及加入を検討。
🟡 黄信号(整えれば十分挽回可)
- 住宅ローンの軽微な延滞(例:1〜2回、短期)
- クレカの遅延やリボ・キャッシング多用で家計がタイト
- 医療費・学費など一時的な支出増で家計が不安定に見える
対処:直近6〜12か月の“延滞なし”実績を作る/返済計画の見直し/家計の黒字化を示す。
🟢 緑信号(望ましい状態)
- 税・社保が完納、直近2年分の証明に欠落なし
- 返済比率(年間返済額 ÷ 年収)がおおむね25–35%以内
- 生活口座に数か月分の生活費の貯蓄がある
住宅ローン・クレカ延滞の「扱い方」
住宅ローン
- 一時的な遅れで正常化済み → 申請時は通常問題なし。
- 繰り返す遅れ/返済比率が高すぎる → 生活安定性に疑問。家計表で黒字を示し、返済計画や繰上げ返済・借換え等の是正を記載。
クレジットカード
- 軽微な遅延の“過去” → 直近の遅延なし実績を作ってから申請。
- キャッシングの多用 → 申請直前は避ける。残債縮小・リボ解消を優先。
金融の遅延=即アウトではないが、**“最近まで続いている”**と悪印象。正常運転の期間を作ること。
申請前チェックリストの例
- 住民税・所得税:直近2年分の納税証明(完納)
- 健康保険・年金:加入+未納なし(証明類を用意)
- 給与/確定申告:収入の連続性が分かる資料(源泉徴収票・課税証明)
- 家計表(1〜3か月):収支が黒字であること
- 預金残高:生活費数か月分の目安
- ローン・クレカ:直近6〜12か月延滞なし
- 過去の延滞がある:経緯と対策を申述書で説明
申述書(説明書)サンプル
2024年○月に一時的な資金不足により、住宅ローンの支払が1回遅延しました。現在は完済しており、以後延滞はありません(別紙:入出金明細)。
理由は【出産費用/転居費用/一時的な収入減】で、現在は【固定費の見直し/残業増/副収入】により毎月の黒字を確保しています。
引き続き、税・社会保険料を含む公的義務の履行を最優先とし、安定した生活基盤を維持します。
よくある質問(Q&A)
- 個人の“信用情報”は見られますか?
-
信用情報機関のスコアを直接参照する運用ではありません。 ただし公的未納は証明書で判明します。
- 任意整理・自己破産の経験は即不許可?
-
一律に不可ではありません。 経過期間・現在の収支安定・公的義務完納で挽回可能。直近は避け、安定実績を積んでから。
- どのくらい“クリーン期間”が必要?
-
目安は6〜12か月の延滞なし+2年分の税・社保完納。状況により調整。
まとめ(実務アクション)
- 税・社保の完納が最優先(赤信号の消灯)。
- 延滞の芽をつぶす:申請前6〜12か月はノーミス運用。
- 家計の見える化:家計表と残高で黒字と余力を示す。
- 過去の遅延は正直に説明+再発防止策でカバー。
